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相続時精算課税制度の詳細
監 修 : 税理士 梅 山 新 平
1.適用対象者
(1) 贈与をする人
65歳以上(その年の1月1日現在)の親
(2) 贈与を受ける人
贈与をする親の20歳以上(その年の1月1日現在)の子
※ 子がすでに死亡しているときは、子の代襲相続人である20歳以上(その年の1月1日現在)の孫
2.適用対象財産等
贈与財産の種類・金額、贈与の回数による制限はありません。
3.贈与税額の計算
贈与税額は贈与財産の価額から特別控除額(非課税になる額)を控除し、税率を乗じて算出します。
(1) 特別控除額
相続時精算課税制度は贈与をする親ひとりから、贈与を受ける子ひとりに対して行われる贈与を、一つの単位として2,500万円までが非課税になります。
一つの単位の贈与とは、1回の贈与に限りません。当事者間において、複数回の贈与が数年にわたって行われていた場合は、その累計額につき、2,500万円までが非課税になります。
(例) 父、母、子A、子B、子Cがいる場合
① 父 → 2,500万円(累計額)まで → 子A
※ これを非課税となる一つの単位として考えます。
② 母 → 2,500万円(累計額)まで → 子A
③ 父 → 2,500万円(累計額)まで → 子B
④ 母 → 2,500万円(累計額)まで → 子B
⑤ 父 → 2,500万円(累計額)まで → 子C
⑥ 母 → 2,500万円(累計額)まで → 子C
→ 父は、総額7,500万円の贈与をした。
→→ 母は、総額7,500万円の贈与をした。
→→→ 子Aは、総額5,000万円の贈与を受けた。
→→→ 子Bは、総額5,000万円の贈与を受けた。
→→→ 子Cは、総額5,000万円の贈与を受けた。
上記の範囲を非課税部分の目安としてお考えください。
(2) 贈与税の税率
特別控除額を超過した部分に対しては、一律20%が課税されます。
(3) 贈与税額の計算
① その年に受けた贈与財産の価額を、贈与をした人ごとに毎年算出していき、その累計額が2,500万円に至るまでは非課税となります。
② その累計額が2,500万円を超えたときは、超過額に対して一律20%が課税されます。以後の贈与についても、贈与をした人が死亡してその相続が開始するまでこの税率は変わりません。
③ 相続時精算課税を選択した年以後、その対象となる贈与については、暦年課税の基礎控除額の110万円の控除を受けることはできません。
納税義務者(贈与を受けた者)がその贈与の都度、贈与税の納付について、暦年課税か相続時精算課税かを選択できる仕組みにはなっていません。
④ 相続時精算課税の選択をしていない場合の贈与については暦年課税によることになります。
4.相続税額の計算
(1) 相続時精算課税制度の適用の相手(贈与した親)が死亡してその相続が開始した場合、相続財産の価格に、相続時精算課税に係る贈与財産の価額を加算し、相続税額を計算します。
なお、相続財産に加算する贈与財産の価額は贈与時の時価によることとされています。
(2) 計算した相続税額から相続時精算課税制度の適用に係る贈与税相当額を控除した額が実際の相続税の納付額となります。
(3) (2)で控除しきれない額があるときは相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。
5.適用手続き
相続時精算課税を選択した場合は、申告書を提出する必要があります(翌年以後も、その親からの贈与については申告書を提出しなければなりません)。
(1) 申告書の提出期間
最初の贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日
(2) 提出者
贈与を受けた子
(3) 提出先
贈与を受けた子の納税地の税務署
(4) 提出書類
① 申告書
② 相続時精算課税選択届出書
→ 贈与をした親ごとに作成
相続時精算課税制度の適用は相手(贈与をした親)ごとに選択(父からの贈与に対しては選択し、母からの贈与に対しては選択しない場合など)することになります。
また、相続時精算課税制度の適用対象者となっていない者(おじやおば)については、選択することはできません。
③ 添付書類
a.贈与を受けた子の戸籍謄本等
次の内容を証する書類
(ⅰ) 贈与を受けた子の氏名、生年月日
(ⅱ) 贈与を受けた子が贈与をした者の推定相続人であること
b.贈与を受けた子の戸籍の附票の写し等
次の内容を証する書類
(ⅰ) 贈与を受けた子が20歳に達した時以後の住所又は居所
(ⅱ) 贈与を受けた子の平成15年1月1日以後の住所又は居所
c.贈与をした人の住民票の写し等
次の内容を証する書類
(ⅰ) 贈与をした親の氏名、生年月日
(ⅱ) 贈与をした親が65歳に達した時以後の住所又は居所
(ⅲ) 贈与をした親の平成15年1月1日以後の住所又は居所
6.相続時精算課税から暦年課税への変更
いったんこの相続時精算課税を選択すると途中で暦年課税に変更することはできません。
したがって、翌年以後に発生した相続時精算課税を選択した父又は母からの基礎控除額(110万円)以下の贈与についても、贈与税の申告が必要になります。
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